愛知県は、都市部から豊かな自然が残る山間部まで、多様な環境を有しており、様々な種類のコウモリが生息しています。特に、人家に棲みつくアブラコウモリは県内全域で確認され、都市部を中心にその数を増やしています。ここでは、愛知県におけるコウモリの多い地域ランキングと、それぞれの地域で見られるコウモリの生態について詳しく解説します。
目次
1.都市部:アブラコウモリの楽園

名古屋市
- 愛知県の県庁所在地である名古屋市は、高層ビルやマンション、古い木造家屋などが密集しており、アブラコウモリにとって格好の棲み処となっています。
- 特に、中村区や中区など、古い建物が残る地域では、屋根裏や換気口などに多数のアブラコウモリが棲みついています。
- また、近年では、都市部の公園や街路樹などもアブラコウモリの生息場所として利用されており、都市開発とコウモリの生態系の関係が注目されています。
- 生態:アブラコウモリは、夜行性で、主に小型の昆虫を捕食します。都市部では、街灯に集まるユスリカやガなどを餌としています。寿命は2年から5年ほどで、繁殖期は年に2回ほどです。
豊田市
- 自動車産業を中心に発展した豊田市は、市街地と豊かな自然が調和した地域です。
- 市街地周辺の丘陵地や河川敷などは、アブラコウモリだけでなく、他の種類のコウモリも生息しており、多様なコウモリの生態系が観察できます。
- 生態:豊田市では、アブラコウモリの他に、キクガシラコウモリやモモジロコウモリなども確認されています。これらのコウモリは、森林や河川敷などを主な生息場所とし、昆虫やクモなどを捕食します。
2.農村部:多様なコウモリの宝庫

安城市、田原市
- 愛知県内でも農業が盛んなこれらの地域は、広大な農地や里山が広がっており、アブラコウモリに加えて、キクガシラコウモリやモモジロコウモリなど、森林性のコウモリも生息しています。
- 特に、農作物を食い荒らす害虫を捕食するコウモリは、農業従事者にとって益獣としての側面も持っています。
- 生態:農村部では、コウモリは農作物を食い荒らす害虫を捕食してくれる益獣としての側面を持ちます。例えば、キクガシラコウモリは、蛾の幼虫などを捕食し、農作物を守ります。
常滑市
- 温暖な気候と豊かな自然環境に恵まれ、コウモリが生息しやすい地域です。
- 古い建物や住宅が多く、これらの建物はコウモリが巣を作るのに適した隙間や入り口が多いため、コウモリの格好の住処となります。
- 生態:温暖な気候のため、コウモリの活動期間が長く、冬眠しない個体もいます。また、海岸線が近いため、海から飛来する昆虫を餌とするコウモリもいます。
3. 山間部:希少なコウモリの棲み処

奥三河地域
- 愛知県の北東部に位置する奥三河地域は、深い森林や渓谷が広がる自然豊かな地域です。
- この地域では、キクガシラコウモリやテングコウモリなど、多様な種類のコウモリが生息しており、中には希少な種類も含まれます。
- 特に、鍾乳洞や廃坑などは、コウモリの冬眠場所として重要な役割を果たしています。
- 生態:奥三河地域に生息するコウモリは、森林性の種類が多く、昆虫やクモなどを主な餌としています。また、鍾乳洞などの洞窟を冬眠場所として利用する種類もいます。
- 岡崎市額田地区ではコテングコウモリの生息も確認されています。
- 生態:コテングコウモリは、小型のコウモリで、主に森林に生息しています。食性は昆虫食で、小型の蛾やハエなどを捕食します。
コウモリの生態
食性:
- コウモリは、主に昆虫を捕食しますが、種類によっては果実や花蜜、魚などを食べるものもいます。
- 愛知県では、アブラコウモリが小型の昆虫を、キクガシラコウモリが大型の昆虫を、それぞれ主な餌としています。
繁殖:
- コウモリの繁殖期は、種類によって異なりますが、一般的には春から夏にかけてです。
- アブラコウモリは、年に2回ほど出産し、1回に1~2頭の子供を産みます。
- キクガシラコウモリは、年に1回出産し、1頭の子供を産みます。
冬眠:
- 愛知県では、冬になると気温が低下するため、多くのコウモリが冬眠します。
- 冬眠場所は、鍾乳洞や廃坑、建物の隙間など、気温や湿度が安定した場所が選ばれます。
コウモリと人間との共存
- コウモリは、害虫を捕食してくれる益獣としての側面を持つ一方で、人家に棲みつくことで騒音や糞尿などの被害をもたらすこともあります。
- コウモリと人間が共存するためには、コウモリの生態を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
- 例えば、人家への侵入を防ぐために、建物の隙間を塞いだり、コウモリが嫌う超音波を発する機器を設置したりするなどの対策が考えられます。
愛知県は、多様な環境と温暖な気候により、コウモリにとって住みやすい場所です。しかし、都市化の進行や自然環境の変化により、コウモリの生息環境は常に変化しています。今後もコウモリと人間が共存していくためには、コウモリの生態や役割について理解を深め、適切な保護対策を講じていくことが重要です。